校長室より

2024/03/04   感謝の心を忘れない人であれ 

 

    3月1日に卒業式が挙行され、晴れやかな笑顔で学び舎を去る卒業生の姿に、感慨胸に迫るものがありました。式辞では、

『感謝の心を忘れない人であれ』という話をして餞の言葉といたしました。

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 感謝には三つの段階があると言われます。

  第一段階は、人から何かしてもらって感謝すること。これは私たちが子どもの頃から教えられてきたことです。人は誰で

 も、自分を認めてもらいたい、肯定されたいという気持ちを持っているので、「ありがとうございます。」と感謝されると、

 それが満たされて嬉しくなります。相手を幸福にするこの言葉は、これから多くの出会いがある皆さんにとって、より良い

 人間関係を築くキーワードになると思います。

第二段階は、日常の当たり前であることに感謝できること。蛇口をひねれば水が飲めること、 電気が通っていて夜でも

明るいことは決して当たり前ではありません。「感謝」の反対の言葉は「当たり前」と言われます。誰もが「当たり前」と思っているものを、「ありがたい(有り難い)」と感謝できる心があれば、人生をより豊かなものにできると思います。

最後、第三段階は自分に起きた辛く苦しいことにも感謝できること。新しい門出を迎えた皆さんの人生が順風満帆であることを願わずにはいられませんが、何かを始めると、これまで無かった困難や問題にぶつかることがしばしばあります。仕事上のトラブル、試験がうまくいかない、事故や病気など、様々なことが考えられます。そのとき、「何々のせいで」と言い始めると、その後には否定的な言葉しか続かないのですが、「おかげさまで」で始めると、困難や問題を前向きに受け止める言葉をつなげることができます。 

皆さんも、自分をとりまく多くの人や様々な出来事に感謝し、敬意と愛情をもって接してください。そしてよりよいつながりをつくり、豊かな人生を歩んでほしいと願っています。

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卒業生の皆さんには、本校で学んだ日々を忘れずに、力強く羽ばたいてほしいと思います。 

2023/07/20   仁以為己任

 

校長室に、熊毛郡出身、第61、62、63代内閣総理大臣にしてノーベル平和賞受賞者の佐藤栄作氏書の扁額が掲げてあり、「仁以為己任」(仁もって己が任と為す)と書かれています。

出典は「論語」(孔子の言葉を弟子が記録したもの)。本校の生徒は入学後にオリエンテーションの一環として徳修館に行き、中国から贈られた孔子像を前に徳修館と本校の歴史を学びます。孔子は熊北の生徒には縁のある人です。

仁はすべてのものを思いやる心、任は任務。

「いつでも、誰に対しても思いやりの心を持つことを自分の任務とする」という意味です。原文ではこのあとに、「不亦重乎」(また重からずや)、「なんと重いことではないか」と続きます。


 思いやりの心とは何でしょう。辞書には「まごごろ、相手の立場で考える」とあります。

思いやりの心が大切なことは誰もが知っていますが、「いつでも、誰に対しても」はなかなか難しいことです。自分の心にゆとりがない時は、邪険な態度になってしまうこともあるし、ウマが合わない人もいます。ついつい自分中心の行動をとってしまうこともあります。ですが、相手に優しく接することで、自分もいい気持ちになったことはないでしょうか。

 1学期中に、本校の生徒が困っている人を助けるということが複数回あり、地域の方から感謝のお電話がありました。助けられた人がとても安心したことは当然ですが、手を差し伸べた生徒も、「ありがとう」と言ってもらい、心が温まったことと思います。

思いやりの心を持つことは、相手だけでなく、自分も幸せにします。互いに相手の立場を考え、尊重し合うことで、良好な人間関係が築けるのです。


 「仁以為己任」いつでも、誰に対しても思いやりの心を持つことを自分の任務とする。

私たちの学問の師である孔子の言葉、熊毛北高校のためにそれを書として残してくださった地域の偉人佐藤栄作氏の思い。「不亦重乎」なんと重いことでしょう。先人の思いを受け継ぎ、みんなが自分も周囲の人も大切にし、みんなが幸せな学校生活を送る熊毛北高校でありたいと、日々、扁額を見ながら思っています。

2023/04/13 メッセージ

 熊毛北高校のホームページにおこしいただきありがとうございます。

 本校は、文化六年(1809年)に士民教育振興のため創立した郷校「徳修館」を源流に持ち、大正五年(1905年)に設立された「三丘村立徳修実科高等女学校」を出発点とする、長い歴史を持つ高校です。長期間にわたりこの地で教育活動を行い、地域の方に愛され、多くの卒業生が地元で活躍しておられます。その伝統の中で、現在も商品開発等の地域連携の取組がすすめられているところです。

 さて、この度、本校のスクールミッションが次のように制定されました。

「小・中学校や地域の関係機関等と連携・協働した継続的な探究活動や、地域・社会の生活の質の向上に向けた課題解決型学習等を通して、確かな学力を身に付け、主体的に新たな価値を創造し、地域・社会の発展を担う、人間性豊かな人材を育成します。」

 このスクールミッションの元、従来行ってきた地域連携に加え、先行き不透明な時代を生き抜くために、自ら課題を発見し、自ら解決方法を探究する力の育成をめざした教育活動を実施していくこととなります。生徒の皆さんは、人との関わりの中で主体的に学び、人間性を高め、社会に貢献できる人間になってほしいと思います。

 熊毛北高校の学校生活がより充実したものとなり、本校に入学してよかったと心から思っていただけるよう、教職員一同努力してまいりますので、引き続きご支援、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。

 山口県立熊毛北高等学校長  升 谷 幸 子

2022/07/15 ガレス先生最終日

 1学期もまもなく終了です。ALTのガレス先生が、今日で勤務最後となりました。毎週、木曜日、生徒とともに130段の階段を上り、出勤されていたのが印象的でした。授業は、綿密に準備をされ、楽しくかつ英語の能力を高められるよう工夫され、生徒は、笑顔で学習に取り組んでいました。1学期の間だけでしたが、ガレス先生には、大変お世話になりました。ありがとうございました。

 The first semester is about to end. Mr. Gareth, our ALT, finished the last classes work today. It was impressive that he went up the 130 steps with students every Thursday.

 The lessons were carefully prepared, fun and devised to improve English proficiency. The students smiled and were engaged in the activities.

 It was only for the first semester, but I am very grateful to Mr. Gareth. Thank you for him. 

2022/05/09 心温まる話

 季節は、春から夏へ、本校も桜からつつじへ、そして木々が濃い緑色へと変化し、いよいよ夏の到来です。そんな中、5月6日に地域の方からはがきが届きました。はがきには、「自転車のチェーンが外れて困っていた中学生に、本校の生徒4名が声をかけて、手を真っ黒にしてチェーンを正常に戻してくれました。雨上がりの朝の気持ちの良いひと時でした。困っている人を助ける高校生に感動しました。ありがとう。」と綴られていました。親切ってとてもすばらしいと思います。周囲の人たちみんなの心がとても温まります。 

2022/04/22 徳修館由来の画讃の紹介

 本校の源流である徳修館由来の画賛が本校に保存されていますので紹介します。

 徳修館は文化6年(1809年)に、士民教育の振興のために設立されたものです。初代館長は、山田北海先生という方で、どの文献を見ても『先生』と書かれています。また、生徒のみなさんが見学した三丘市民センターのところにある古い建物は、弘化3年(1846年)に宍戸元礼公が家老末兼佐織に命じて、萩の明倫館に模して造られた講堂になります。

 歴史的にいつごろかというのがつかみにくいですが、明治元年が1868年で、明治維新で活躍した有名な人たちと年代を重ねてみると、吉田松陰が1830年~1859年、高杉晋作が1839年~1867年、坂本龍馬が1836年~1867年、西郷隆盛が1828年~1877年、伊藤博文が1841年~1909年、まさに、明治維新の始まったころに設立されたことがわかると思います。 

 さて、1つ目の写真は、その初代館長の山田北海先生が書いたと言われる画讃(がさん)です。過去には中国からこの画賛を見に来られたこともあると聞いています。書かれている内容や絵については、よくわからないこともあり今回は省きますが、先日、山口東京理科大学で徳修館の歴史を研究されている先生が来校され、貴重なものであるとのことでした。

 2つ目の写真は、昭和の時代からある本校の由来がわかる本です。これをもとに皆さんに話をしたりしています。    

2022/04/15 メッセージ

 本校は江戸時代文化6年に武士や庶民を教育するために創立した徳修館を源流にもち、大正5年に設立された三丘村立特修実科高等女学校が出発点です。創立以来106年の歴史を刻んでおり、校訓「誠実 創造 努力」のもと、学校教育目標として「生徒一人ひとりの社会的・職業的自立にむけて必要な基盤となる基礎的・汎用的能力の育成」を目指しています。

 校訓は昭和57年に制定され、制定にあたっての当時の思いが次のように記録されています。

 〇『誠実』

 平素から自分の心を、つまり、感情や判断を清らかにし、本来の自然の心を絶えず見つめて、ありのままに生かしていくこと。素直な心、優しい心、明るい心、人に物に感謝する心、そして、不平不満や意地張りや虚栄の心を浄化しきれいにすること。

〇『創造』

 より高い目標や生きがいの実現に向かって創造的に発展すること。人は誰もがそれぞれの個性と限りない能力を能力をもっており、目標に向かって適切な判断と努力で、それを発現させ創り出すことができる。

〇『努力』

 誰もがその大切さは十分わきまえている。しかし、刻々と過ぎる時の流れに日常の反省をすると、意外と安易に振る舞っている。やることなすことを意義有らしめ充実させるためには、実践活動の積み重ねが不可欠であり、努力なしに大きい進歩、充実、発展はありえない。

 この素晴らしい校訓を、生徒のみなさん自身の行動指針として、高校生活を送ってほしいと思います。そして、この熊毛北高校で、多くの人たちと関わりをもちながら成長して、進路実現を果たし、社会に貢献できる人材になることを願っています。

 山口県立熊毛北高等学校長  熊 原 靖 夫